2011年10月29日土曜日

ボキャブラリー・コンペティション(2)

前回のテーマの続きで、2回目です。

このボキャブラリー・コンペティションという学校行事は、協力関係の構築にもとても有効である、とのことです。
3人1チームをつくり、リレー形式で勝ち負けを競います。
英単語を日頃からさぼっているとチームはもちろんクラス全体に迷惑がかかります。反対に英単語学習に日頃からまじめだとチームおよびクラスに貢献します。
大会当日までに、その学習段階からチームやクラスで協力しあって準備をします。クラス担任が懸命に生徒と一緒になって取り組みます。
生徒と生徒、生徒と先生、学校内のいろいろな関係性がよくなり、その後の学校生活がより豊かになる、ということです。

もう一つのポイントは、学年別にやるよりも学年を超えて学校全体で取り組むのがおもしろいということです。
昨年は1年生のクラスと2年生のクラスが決勝戦となり、1年生のクラスが優勝し、2年生は悔しい思いをされたとのこと。

学年を超えての大会は準備などおおがかりになってたいへんだと思うのですが、それでもやろうという学校の配慮にとても感心しました。このような配慮があるからこそ、校外からの見学者が多数あるような、より盛り上がった大会になるのだなあ、と思いました。

今年は1118日に行われる予定。今年もすばらしい大会になるといいですね。

2011年10月27日木曜日

ボキャブラリーコンペティション(1)

ボキャブラリーコンペティション(通称;ボキャコン)


勉強をスポーツにするアイデア。


ある私学にお邪魔しました。

最近は主に保護者の方々に向けて学校新聞を毎月発行しているんですよ。と校長先生からその新聞をご紹介いただきました。

新聞を拝見しておりましたら、「ボキャブラリーコンペティション」という行事がありました。

具体的にお聞きしましたら、とてもおもしろくて、かつ、教育的にも意義深いものがあると私なりに思いましたので、紹介したいと思います。

学内の行事なのに、校外からの見学者がたくさんおられるらしいです。

この「ボキャコン」をひとことでいいますと、「パソコンを使った英単語クラスマッチリレー」だと私は思いました。


パソコンで出された英単語問題をチームの生徒たちが協力して、正解を素早く答えながら、並べられたパソコンを次々にクリアして進んでいくというものです。


進んでいく間に間違った回答をしてしまうとそのチームは最初からやりなおしになるのです。


体育館にパソコンをたくさんならべて行うので、頭と体の運動になるのではないでしょうか。


英単語学習という退屈になりがちなものをスポーツに変えてしまうアイデアがこの学校様ならではで、たいへんユニークだと思いました。


次回は、このボキャコンのもっとすごいところ紹介します。




2011年10月26日水曜日

選ばれる理由は授業にあり A先生の事例(5)


A先生の授業を工夫された事例を紹介するコーナーの5回目です。
今回は、A先生の事例の最後です。

A先生の授業アンケートの結果推移データは、前回・前々回をご覧ください。



A先生のすごいところ(ヒューマンリンクの見解、A先生へのお礼)
私はこのデータをみたときは本当に驚きました。最も大切であるがなかなか向上させるのが難しいとされる「学力向上」指数において、07年において-18%だったのを11年においては+67%にされたのですから。どんな風に工夫をされ、どんな風に自分を変えていかれたのか聞いてみたくなりました。先生の良い取り組みのインタビューをさせていただきたいと思ったのも先生のこのデータがあったからでした。A先生のおかげでこの企画が立ち上がったのです。まさに、人が変わったようなデータでした。インタビューさせていただくとやはり思った以上の先生でした。昔はあまり余裕がなく生徒目線での授業に課題が残った先生が、教材研究を重ねたことで今では生徒の目線に立った授業を展開され、多くの生徒の学力を伸ばしておられることがわかりました。

教師側の視点ではなく生徒からみた教材研究を追及される先生のスタンスに大変大きな感銘を覚えました。そして、人に対する誠実さと教科指導の正確さの両方を兼ね備えた先生だと思いました。今の時代は社会からの要請に自分をどこまで柔軟に対応していくことができるかという部分が大きいように思います。今の子供たちには社会の要請に柔軟に対応するモデルが必要です。今回の柔軟な姿勢をもった先生はそのモデルとして余りある存在と思いました。こんな先生がいたらいいなあと私は思います。3年間のうち少しでもA先生と同じ空間を過ごすことができればその子供は立派に社会の難局を乗り越えていくきっかけになるに違いありません。

2011年10月24日月曜日

選ばれる理由は授業にあり A先生の事例(4)


A先生の授業を工夫された事例を紹介するコーナーの4回目です。
今回は、「意識が変われば生活と結果がかわる」という内容です。

A先生の授業アンケートの結果推移データは、前回・前々回をご覧ください。



●意識が変われば生活と結果がかわる

また、本校は生徒に文武両道の大切さをうたっている学校です。生徒には言っているけれど、自分はどこまでできているのだろうと考えた時期がありました。その結果、自分もやはりクラブ(剣道部顧問)をやるときはきちんとクラブ指導に誠心誠意打ち込むようにしました。そうしますと当然自分の時間がさらに厳しくなりました。が同時に、合間をぬうようにして教材研究をするようになりました。そうしていることで、時間の使い方も変わってきたように思います。自分が成長できることはいいことだと今では思います。



2011年10月21日金曜日

選ばれる理由は授業にあり A先生の事例(3)


A先生の授業を工夫された事例を紹介するコーナーの3回目です。
今回は、「生徒に自信をつけさせる工夫」という内容です。

A先生の授業アンケートの結果推移データは、前回・前々回をご覧ください。

●生徒に自信をつけさせる工夫
前々回に「生徒が理解しやすいように、重要ポイントを体系化したプリントを各単元ごとに作成する。」ということを紹介しました。このプリントや重要ポイントなどは、試験勉強をさせやすくするという配慮もあります。試験勉強がしやすいと試験勉強をするようになります。勉強するようになるとテスト結果がよくなります。テスト結果が良くなると教科の勉強がおもしろくなります。おもしろくなると継続するようになります。継続するようになれば学力があがってきます。
実際に、最初は平均点以下しかとれなかったような生徒で毎回90点以上をとるようになった生徒もいます。そして、クラス全体のテスト得点率もあがってきています。このように、生徒に自信をつけてもらうシステムづくりも考えています。



2011年10月20日木曜日

選ばれる理由は授業にあり A先生の事例(2)

A先生の授業を工夫された事例を紹介するコーナーの2回目です。
「授業を分割する」という内容です。ご覧ください。

A高等学校 A先生 地理歴史科

■授業アンケートの結果 A先生のデータ
授業満足度(Q1-Q6
07 (1)
08 (1)
09 (1)
10 (1)
11 (1)
傾向
意欲
4%
1%
35%
52%
82%
関心
-9%
-14%
25%
41%
70%
学力向上
-18%
-37%
24%
30%
67%
理解
22%
-11%
33%
64%
91%
好感
11%
-12%
44%
70%
91%
合計
11%
-74%
161%
257%
400%

上記各項目の%数字は、単純な構成比を表すものではなく、各項目を調査するための4つの選択肢のプラス評価(選択肢1回答と2回答の比率の合計)-マイナス評価(選択肢3回答と4回答の比率の合計)という計算式から算出されたものです。

●授業を分割する
50分間の授業を最後まで息を切らさず集中できるかという問題があります。そこで、50分授業を2分割、あるいは、3分割して設計することもしています。50分は生徒にとっては長く集中が続かないことが多いです。ですから、50分をずっとやるのではなく、途中に休憩を入れています。休憩は、背伸びをしたり、雑談を入れたり、質問にこたえるようにしたり、しています。例えば、50分を2分割してやると休憩は5分ぐらいとしたら、20分・休憩・20分となり、20分を集中する形になるため、生徒も私も集中できます。

2011年10月19日水曜日

福岡県私学協会 教員向け学級経営研修会

福岡県私学協会様からご依頼をいただき、弊社稲葉が講師を担当させていただきました。講義やパネルディスカッションに加え、ワールドカフェなどのグループワークの演習を組み込んだ午前から夕方までの研修会でした。研修時間が長いにも関わらずご参加の先生方は積極的にお取り組みいただき、盛大な研修会になりました。

皆様からいただきましたアンケートは75枚。一人当たり平均300字を超えるご感想をいただきました。本当に熱心なアンケートばかりで長いですので、2枚だけご紹介します。それでも長いです。

「単に講義を聞くだけでなく、他校の先生方のお話・現状をうかがうことができ、大変勉強になりました。テーマが「どのような学級がいいか(このような学級を創ろう)」というものだったので、とても話しやすかったですし、様々な切り口から理想の学級を考えることができました。どうしてもマイナス面ばかり見がちなので、理想の学級というプラスのものを考えるというだけで、日々の重たい気持ちが楽になったような気がします。午後のグループ討議では、担任として何をすべきか・できるかを話し合うことができて、大変面白かったです。やはり、他校の先生の話は新鮮でした。最後の講義では「ほめる」ということを深く考えさせられました。何より印象に残りました。「ほめる」ということは本当に難しいですが、うまく取り入れて生徒をのばしていってあげたいと思いました。生徒のプラスの変化をしっかり見て、ほめて、生徒とともに成長していきたいと思いました。ありがとうございました。」

「私は教員3年目で今年初めて副担任を持たせていただきました。担任の先生と2人3脚で学級経営をしていたつもりでしたが、今日の研修を受けて「もっとできる!もっとやれる!」と思いました。ワールドカフェを通して、理想のクラスを語り合ったり、パネルディスカッションを通じて、校長先生方のお話や稲葉先生のご指導のおかげで、生徒への接し方がわかった気がします。そして、今回の研修会を通して、多くの引き出しを得るきっかけになったと思います。この研修会のみで終わらず、学校に帰ってからも、考えて、成長していこうと思いました。ありがとうございました。」

*ワールドカフェとは、カフェにある空間のようなオープンでリラックスした雰囲気の中、少人数に分けたテーブルで自由な対話を行い、ときどき他のテーブルのメンバーとシャッフルして対話を続けながら、参加する全員の意見や知識を集めることのできる会議手法の一つです。

2011年10月14日金曜日

選ばれる理由は授業にあり A先生の事例

弊社では授業アンケート・授業改善の支援活動を行っています。いろいろな先生から授業が良くなった事例を紹介してほしいというご要望をいただいておりました。どのような工夫をし、あるいは、自分をどのように変えていかれたのか、インタビューさせていただきまとめましたものをこのブログにてこれから少しずつ紹介してまいりたいと思います。



A高等学校 A先生 地理歴史科

■授業アンケートの結果 A先生のデータ
授業満足度(Q1-Q6
07 (1)
08 (1)
09 (1)
10 (1)
11 (1)
傾向
意欲
4%
1%
35%
52%
82%
関心
-9%
-14%
25%
41%
70%
学力向上
-18%
-37%
24%
30%
67%
理解
22%
-11%
33%
64%
91%
好感
11%
-12%
44%
70%
91%
合計
11%
-74%
161%
257%
400%

上記各項目の%数字は、単純な構成比を表すものではなく、各項目を調査するための4つの選択肢のプラス評価(選択肢1回答と2回答の比率の合計)-マイナス評価(選択肢3回答と4回答の比率の合計)という計算式から算出されたものです。

A先生のお話のまとめ

●生徒が理解しやすいようにすべての手法を転換する
以前は、毎時間の進捗を気にしすぎていて、終わらせないといけないという気持ちが強く、余裕をもった授業展開ができていませんでした。
が、最近は、とにかく、生徒にとって丁寧な授業をすることができるようになったと感じています。
例えば、実践していることは、
・生徒が理解しやすいように、
  各単元での重要ポイントをきちんと整理する。

・生徒が理解しやすいように、
  説明の表現方法についても考え実践し見直しをする。

・生徒が理解しやすいように、
  毎時間の学習の狙いを極力シンプルに授業開始時に伝える。

・生徒が理解しやすいように、
  重要ポイントを体系化したプリントを各単元ごとに作成する。

・上記のことを毎時間実施することができるように、
  授業の前日までに教材研究を行う。

・教材研究には、教科書、参考書、資料集を使う。

・板書はチョークを3色使う。黄色は重要ポイント。
 もう一色の使い方は試行錯誤をしているところ。

などです。

次回は、A先生のお話の続き「授業を分割する」をご紹介します。