2016年2月29日月曜日

ICTが学習時間の救世主?

中学・高校生の授業外での学習時間が少ない。というお話を各方面で聞きます。
小学生→中学生→高校生、と学習難易度が上がるので、学習時間も比例して増えるのではないかと思われるのですが、実態はその反対にあるようです。
そのような中、学習時間を過去よりも大幅に確保できるようになり、学力も相当に伸びているという学校のお話をお聞きしました。
・赤点をとる生徒はほとんどOに近づいた。
・全体の平均点も大幅に上昇した。
・偏差値も特定の生徒だけでなく、全体的に上昇した。
ということでした。

それの秘訣はICT機器の活用とおっしゃるのです。
具体的には
・学習システムを利用し、生徒は自力で学習します。
・さらには、その学習状況を先生が定期的に確認します。
・学習状況が至らないと早めにフォローする体制がとられています。
などの実践です。

このお話をお聞きして私が思いましたのは、
上記のやり方で
・学習しない習慣がついてしまった生徒を
・ストレスなく自然と学習する習慣に変えてしまう
ということが実現しているから成功されているということでした。

学習に向かわせるシステム と
それを習慣化するための先生の確認・フォロー体制

という2つがそろったわけです。

過去にも自習ノートを提出してもらい、先生がチェックするということをしていた時代があったかと思います。
もちろんこれで十分なわけです。

が、
・ノートを提出してもらう作業
・誰が提出していないかを確認する作業
・催促する労力
などに時間がかかりすぎてしまう点がデメリットだろうと思われます。

ICTを使うとこの時間を要した3つがシンプルに素早くできますね。

そして、フォローを適切にすれば生徒の学習へのモチベーションも高まることが容易に想像できます。

このようにアクティブラーニングするなら、複雑なことをいろいろとやるというよりも、学力が伸びることがストーリーとしてえがくことができるシンプルな取り組みをやりたいですね。



2016年2月22日月曜日

2016 2 17 ルーブリックセミナー東京 映像①


セミナーの様子を少しでも知りたいなどご要望をいくつかいただきましたので、2月17日に行いましたセミナーの冒頭の部分をこちらにアップいたします。

セミナータイトル; ルーブリックによる学校改革
サブタイトル; 新しい学力観への移行を自校の好機と捉え、これまで学内で蓄積してきた多くの教育活動を独自の価値ある教育プログラムへと昇華させる。それが「ルーブリックプロジェクト」の目的です。

他のテーマに比較し反響(ご質問・ご相談・学校視察依頼など)が大きかったです。

過去投稿の宝が今眠りから覚めるとき

にありましたが、学校が培ってきた価値ある教育内容を世に示すときがきた感じがしています。

今日は、京都でセミナーを開催しています。



2016年2月17日水曜日

教育の「見える化」ルーブリック




・新学力に関する教育プログラム
・ゆとり教育は何故、失敗したとみなされたのか
・主体性、思考力、協働性を育てるには
・ルーブリックのサンプルと事例

などなどをテーマにセミナーを行っています。

九州や東北などからもご参加いただいて関心の高さがうかがえます。

またご関心ございましたらいつでもご連絡ください。



2016年2月16日火曜日

生徒は本当はみえないところで成長している?

今年度を締めくくるルーブリック調査が各校で始まりました。
これは定期テストや模擬テストなどには表れない人間的成長まで含めた成長を測定する目的で行います。

以前の記事
正しさよりも共感できるテーマ
http://bloghumanlink.blogspot.jp/2015/03/blog-post_10.html
でも書きましたが、
「生徒にしてあげたいこと」や「生徒が卒業時になっていてほしい姿」などをテーマにした先生方同同志の話し合いは終わりがありません。
そして、先生方が共感できるテーマが特定されると調査を早くしてみたいという気持ちになるようです。

そのようにして作成されたルーブリックマトリックスに基づく調査には、
先生方の先生として『純粋な思い』が込められているように感じます。
本来は多くの先生が持っているであろう『純粋な思い』を体現している先生は今どれぐらいおられるのでしょうか。

文科省から要求される内容は時として揺れることもあります。
その都度左右されていると私学として少し大変です。
そうでなくて、
私学としての『揺るぎない指針を具体的に表現』し、それに向かって実践~邁進するときかもしれません。
そうなると先生方の教育に向かう姿勢(スタンス)にこれまでとは異なる自信がみなぎる感じがします。

よろしければ私学経営セミナーなどに足を延ばしていただきご参考ください。
ヒューマンリンクの公式ホームページ
http://www.humanlink.info/


2016年2月12日金曜日

ついつい油断 学力につながる授業 貴校の全国水準は?

一見しては見えないものに精力を注ぐことが大切かもしれません。

授業アンケートをいろいろな学校で担当させていただきますが、弊社算出の指標で学力向上がマイナス評価の先生の数で、授業力や学校力が歴然とわかります。

1つの教科に13~15名ぐらいの教員がおられたときに、学力が伸びる授業に取り組んでいる学校(教科)は、マイナス評価の先生はおられないことが多いです。マイナス評価の先生の数は0です。
反対に学校(教科)として取り組んでいない学校は、4~6名ぐらいになります。
これだけおられれば、どれだけの授業が学力向上にあまり機能していないかがわかります。

生徒の満足度・不満度、授業内容が学力向上にどれだけ影響を与えているかは、一見してはみえないものなのです。
校門や受付が清掃されていない、あるいは、生徒の素行(マナー)がひどい、などは見えるので、これはすぐに学校評価につながってきます。
直さなければという意識になり、改善が進みやすい側面があります。

が、先ほどの見えない領域は後回しになりやすい側面があります。
気が付いたら簡単には取り返しのつかないことになっている場合もあります。

アクティブラーニングの要素を取り入れた授業を展開する学校も増えてきました。
新しい授業展開をしているならなおさら学力につながっているかの検証は必要でしょう。

見えないものに精力を注いで生徒や社会に還元するという日本の学校ならすべての学校が本来持ち合わせていることにもう一度真摯に向き合ってみるという時節なのかもしれません。


2016年2月9日火曜日

高校生にもなるとあまり家庭学習しないのが普通?

全国各地の私立中高の募集状況が報道されています。
今年も厳しさが増しているようです。
気になるのは人気がない学校が回復の糸口を見出していないように見える点です。
人気が出る学校とそうでない学校のカギとなるものは何かを考えていたちょうどそのとき、

「本校の今の様子は、自学するのが当たり前、しない生徒は浮いてしまう雰囲気がある。」
という学校にお会いしました。
以前からよく知っている学校ですので、3年前はそのような雰囲気ではなかったので、驚きました。
何がよかったのでしょうか。

もちろんいろいろと要因はあろうかと思いますが、
●この学校様はいい学校にしようということに強いこだわりを持ち続けている
という点に着目しました。

いい学校とはどんな学校かという定義はいろいろな見解があってたいへん重要なことですが、定義が定まらないことを理由に変わることを躊躇する学校がとても多いのが実情です。

一方人気のある学校は
●ニーズを積極的にとらえて他校の慎重姿勢を傍目に自ら変わっていく
という特徴があります。

目標とする「いい学校像」に異議を唱える方もおられたとしても、本校は「この方向でいい学校にする!!」という意識は他の学校よりも圧倒的に強いということを感じていました。

これが功を奏したのだと思われます。
国公立合格は1年で100名を軽く超えました。
厳しい生徒募集も反転攻勢に出ました。

前回記事にとりあげた先生のお言葉で、
『常に理解をしてもらうための言動をする』
『どれだけできるかわからないが全人格をもって戦う覚悟』
『必ず成果が現れると信じ行動する』
『生徒のために大切なことはどっちだ、という価値観がブレることなく行動する』
という箇所がありました。

このような先生がどれだけ学校に存在するかで今後の学校の行方を左右するのかもしれません。

2016年2月8日月曜日

『笑顔を絶やさない』で求心力を高める

弊社の中堅教員研修会(年間8回プログラム)を終了された先生は累計で1000名近くになりました。今回は研修修了生であるD先生へのインタビューを紹介します。前回からの続き(インタビュー後半)です。

○研修で印象に残っている講座などはありますか?
「組織をどうして行くかということについてどこかで勉強できたらと思っていたので、2講や3講のPDCAや『○○○○へのリーダーシップ』は印象的でした。それまでは組織の長というのは、経験を積んでクラスをもっていない長老の先生方がやり、こちらはコマとして動けばいい、くらいにしか思っていなかった。自分の意識や行動で組織を変えていく意識を持つようになった。そして、ケーススタディはまさに自分の学校のことと思うようなことが多く、とても焦りを感じることが多かった。一緒に研修を受けていた他校では、明確なビジョンの下、生徒の為の組織運営がなされており、教員一人一人がキラキラ仕事をしているという話を聞いて羨ましく思いました。」

○部門活動計画の達成状況について教えてください。
「部門活動計画ではコースについてロイヤリティのアップ、仲間を増やすことをテーマにしました。『改革の意識を共有する教員を6名から15名にする』、『新カリキュラム運用計画の検討』などを目標としましたが、これらは実現しました。孤軍奮闘だった昔と比べ、理解し一緒に走ってくれる仲間が増えました。新カリキュラムについては、アンケートをとったりかなり準備したにも関わらず、学内ではあまり反応がなかったなどと悔しい思いもしましたが、言うべきことは言えました。」
「『教員の研修、勉強会を月に一回する』という行動目標も、自分たちが企画する際にタスクブレイクダウン(*)をしたり、担任研修を企画したりと実現しています。総合学習における進路指導やロングホームルームの企画などもできました。」
「阻害要因(*)として、『学校全体の改革の動きをどう作るか』、『担当者に任せ切りでいい加減な状態を若手が真似している』などを挙げましたが、その解除方法(*)として『常に理解をしてもらうための言動をする』、『どれだけできるかわからないが全人格をもって戦う覚悟』、『必ず成果が現れると信じ行動する』、『生徒のために大切なことはどっちだ、という価値観がブレることなく行動する』ということを貫きました。」

D先生は、こうした取り組みにより、学校が少しずつ変わってきたとおっしゃいます。今は、あれもこれもしたいが全部はできないという少し中途半端な状態になっていることがもどかしいとおっしゃいます。

実現したいテーマとして、「この学校で学んで良かったと言える学校を作りたい」、「仲間を増やして改善改革に向けて実際に行動する真に実践するチームにする」、「笑顔を絶やさない」を決意されています。そんなD先生の物語は今は第3章、タイトルは「 リーダーとは忍ぶこと」とつけました。

*タスクブレイクダウン 取り組みの狙いやゴールイメージを明確にし、ゴールを達成するために必要な業務に分解し、それのプランニングを行うもの。特に、新規PJや新規行事にとりかかるときに有効な手法。中堅教員研修会の第2・3講で取り扱う。
*阻害要因 ゴールイメージを実現させるにあたって予想される障害や制限や抵抗風土など。
*解除方法 上記の阻害要因を解除する方法を事前にプランニングするというもの。中堅研修第7・8講で取り扱う。


2016年2月5日金曜日

喜んで行うニーズ対応が結果をわける

弊社の中堅教員研修会(年間8回プログラム)を終了された先生は累計で1000名近くになりました。先日もその中のお一人の先生から「今年の生徒募集も好調です。やはり学校の中身の整備で、他校よりも少し秀でていることが大きいと思います。少し秀でているだけで注目度がちがうのですよ。」とお話をいただきました。
この先生は学校の機運を盛り上げ、他校では敬遠されるような新しいプランニングを学校として意思決定させていきます。すなわち社内のニーズにいち早く対応するという『学校としての柔軟性』を生んでいるわけです。この先生のお話を聞いていて改めて感じることは、教員集団の「だれか」が学校をよくすることに主体的に関わることはやはり重要である、ということです。管理職であっても一般教員であっても誰でもいいのです。だれかが主体的に関わるとこれほど変わるのかということを示してくれています。
今回は弊社の中堅教員研修会(年間8回プログラム)を終了された先生へのインタビューを紹介します。

***

日に焼けた笑顔が印象的なD先生は、平成23年度の中堅教員研修を受けてこれからの活躍が期待される先生の一人です。校長先生から「D先生の授業は自分も生徒として受けてみたい」と言われるほど、人間として魅力あふれる、生徒の心の機微に触れる、そんな国語の授業をされています。分掌は教務主任、ソフトテニス部の顧問です。42歳で、一緒に改革を担うE先生とは年が一つ違うけれども誕生日が一緒ということも運命を感じます。

○教員になったきっかけを教えてください。
「高校時代、こういう風にはなるまい、というような大人と出会うこともありました。父親が高等学校の先生をしていましたが、教員を志したのは高校3年になってからです。」

○先輩教員からの教えで覚えていることはありますか。
「初任時代も、これではダメだと問題意識を持っていました。『授業や担任は子どもを中心に考えないといけない』『仲間を守ってやらないといけない』、そうしたことを考えていました。」

○現在に至るまでの出来ごととモチベーションの推移を教えてください。
「平成6年に非常勤で入り、7年から専任、最初は気持ちも上がりました。30代になり結婚をし、子どもができると自分の生活のことが心と体の中で大きくなってきました。20代で描いていた理想が通用しない、そうした壁にぶつかり気持ちが下がりました。しかし、入試広報の仕事で外を回ると、他の学校に比べ改善すべき点がある、と感じました。そこでまた、『学校をなんとかしないといけない』という気持ちが芽生えました。」

○中堅教員研修に参加した当時の状況や気持ちはどうでしたか?
「それまで入試をやっていた先生が教頭となり、自分とE先生を含めた5,6人で入試検討委員会に関わりました。このときは、『思いを語り合える仲間がいる』、という気持ちになり、次々アイディアが出て盛り上がりました。そこで、日本社会らしい、伝統と官僚制、すなわち、自分たちの意見が上司に伝わらないというか、目の前に壁が立ちはだかりました。せっかく新しい動きが出たのに、なぜうまくいかないのだ、という中で中堅教員研修を受けました。」
「研修を受けた頃はとにかくやるぞという気持ちがある一方で、毎日忙しかったので面倒くさいという気持ちもありました。入試の仕事や研修でホームルームに出られず、次の日に生徒と顔合わせた時、どこかで生徒と気持ちが離れた感じがするのも嫌だった。しかし、参加したら周りの学校の状況もわかってきます。30代になったときに生じた『世の中こんなもん』という気持ちではもったいない、と思うようになりました。後輩も頑張ってくれるということでモチベーションも高まりました。」

インタビュー前半は、研修参加当初の率直なお気持ちが語られています。
やはりお忙しいさなかの研修参加は負担に感じる部分もあったようですね。

次回はインタビュー後半を紹介させていただきます。