2016年4月6日水曜日

儀式で教職員全員の認識を変える

春本番という感じでしょうか。
京都は桜が満開です。
海外からの観光のみなさんもしみいるように日本の桜をご覧になっているのが印象的です。
我々にとっては桜は毎年の当たり前ですが、海外の人にとってはこれはとても貴重な体験なのかもしれません。

そして学校も始まりましたね。
色々な学校に用事があり、お電話させていただきますが、なかには
4日に入学式をしている学校もありました。
早いですね。他校よりも一足先にスタートを切ろうというお考えなのかもしれません。
一足先んじるという発想はたいへんいいですね。
この年度を喜んで迎えるという姿勢につながり今後の学校生活も前向きになるのだろうと私は想像しました。

そして、弊社はある学校の全学園職員会議に参加してまいりました。
高校単独の学校でなく、大学もある色々な校種がある総合学園です。
合同職員会議なので出席者はおよそ150名の教職員。
壮観で、気持ちが引き締まります。

最近はこのように年度のスタートを良い形で切りたいと
学校独自の工夫をされるところが増えてきたように思います。

一方で、
人事面などの調整に手を焼いている学校があるのも事実です。
年度変わりはいろいろな事情がありますので、教務の先生を中心にその対応は大変だと思います。

ただ、これらのことで私が思いましたのは、
このほんのちょっとした気配りで教員の士気は大いに変わるのではないか、ということです。

ばたばたと年度を迎える学校は日常的な忙しさが学校に伝染する普通と変わらない新年度を迎えることになります。

一方、工夫される学校は特別な年度を迎えることになると思うのです。


最近は前からこのブログで述べておりますが、私学独自のルーブリック策定に取り組む学校が多いですが、先述の職員会議に参加させていただいた学校では、

●プロジェクトメンバーとなる教員の任命式

を執り行われたのです。

学園の教職員全員150名の前で、
重要な役割(ルーブリック策定)が
1人1人の教員に任命されるというわけです。

こうすることで学園が考える重要なプロジェクトであることが全教職員に認知されました。

このように形を整えて任命式が挙行されるという儀式は
大事な取り組みにおいてはどの学校ももっと検討してもいいのではないか
と考えさせられました。

みなさんはどのような新年度をお迎えになられたでしょうか。

2016年4月1日金曜日

リスタートの継続

弊社の中堅教員研修会(年間8回プログラム)のオープン講座がいよいよ4月16日の岡山会場を皮切りにスタートします。
今年は新しく参加される学校が多くどのような研修会になるか、どのような先生との出会いがあるか、今から楽しみです。
今回は弊社の中堅教員研修会(年間8回プログラム)を終了された先生へのインタビューを紹介します。

***

やわらかな物腰で名刺を差し出されるE先生は、平成23年度の中堅教員研修を受講~終了されました。そして、目に見えた生徒募集の成果を学校にもたらされたのです。40代前半で、社会がご担当ですが入試を主な業務とされます。陸上の投擲が専門です。

○教員になったきっかけを教えてください。
教員になったきっかけは高校、大学とハンマー投げをして、指導したいと思ったからです。

○印象に残っている先輩の教えは何ですか?
・生徒を育てる上で大事なのは、難しいことをいうのでなく同じ時間を共有すること。
・すると信頼関係ができる
・ときどき顏を出して言っても、表面上は聞くが心には入らない。
・生徒を指導するということは時間で区切れるものでない。
・勤務時間を超えても付き合う必要がある。
そうしたことを先輩の姿を見て学びました。

○現在に至るまでの出来ごととモチベーションを振りかえっていただけますか。
20代は高体連にも関わるほど部活中心でしたが、30代になり「このままでいいのか」と思うようになりました。高体連で顔を合わせる先生から他校の話を聞いたり、入試に関わり外を見ることも多くなり、「なんとかしなければいけない」という思いは強くなる一方でした。しかし、どうしたらいいかわからないし、力もない。そんなもどかしさを感じていました。

○中堅教員研修に参加した際の状況はどのようなものでしたか。
現校長と話しながら、手探りですが少しずつしなければいけないと思っていたことを進めていました。そんな折、ヒューマンリンクの生徒募集マスター講座に行きました。自校の状況を点数化してみると本校の点数は一桁。
講師の稲葉さんから「卑下し過ぎでしょう」と言われましたが、他校との差は歴然だったのです。
同時期に校長も校長研修を受けました。お互いに研修の感想を述べ合うと、「良かった」と声を合わせました。これは多くの先生に受けてもらう必要があるということで、まずは自分達から中堅教員研修を受けることとなりました。生徒募集マスター講座を受けていたので研修自体に興味はあったのですが、部活、クラス、入試広報と仕事が山積みの中でやっていけるかという不安はありました。

○研修で印象に残っている講座は何ですか?
上司に対するリーダーシップ」という言葉にはハッとさせられました。その感覚はなかったからです。
「そういうものか、やらないといけないことを通すためには」、と気づきました。

○部門活動計画の達成状況をお聞かせください。
部門活動計画のテーマは入試対策です。
計画の内容は次の通りです。
『学校説明会参加者3500名を5000名にする』
『オープンスクール参加者354名を400名にする』
『受験者1800名を2000名にする』という目標を立てました。

その結果は、
説明会参加者8000名で、目標の5000名を3000名超えました。1年前の3500名からは+4500名増えたのです。
そして、オープンスクール参加者400名は目標の400名をジャストで達成。
受験者は2300名で、目標より300名超を達成しました。

特に説明会参加者が4500名も増えたのには驚きました。

本校ファンの中学校も増え、単願者も160名を200名にするという目標に対し、216名と達成しました。また、個人的に実現したかった投擲選手の確保もでき、関東大会を狙える生徒も育っています。

このように、E先生は研修内容を活かして生徒募集活動を次々に変えて行くのですが、その過程は決して順調だったわけではありません。

・表面的には賛成しても動いてくれない先生
・入試広報に必要な予算の折衝
・業務の集中
・組織化されていない入試対策室のマネジメント
・改革の必要性を感じず諦めが強くてモチベーションの低い教員
など。

計画を立てた時に予想したことが次々にE先生の前に立ちはだかります。
どれも、人をどう動かすかの問題にいきつくことでした。何ができるのか、何をしないといけないのか、それは「ぶつかりながらもやらなければいけない、ここで引いてはいけないという意識」だとおっしゃいます。「学校全体を考えればこれだけは譲れない」という思いでE先生は前に進みます。私心でなく、生徒や学校全体のことを考えるからこそ、向かい風に負けることなく踏ん張れる。人をどう動かすかという問題を乗り越えるためにできることは何か、それはコミュニケーションを図ることにつきます。よく言われる言葉ですが、諦めずに粘り強く対話を続け物事を進めること、その踏ん張りを誰かが見て、次第に人が付いてきてくれること、そうした希望をE先生のお話は物語っています。

今大事にしたい研修当時の気持ちは、
・学校改革を推進し、在校生、卒業生、教職員のあらゆる関係者が高いロイヤリティ(愛校心)をもてる学校にすること
・メンバーや管理職とのコミュニケーションを大切にしながら、自らのスキルアップも心がけ、意見交換の難しい本校の土壌を改革する、円満に改革が推進できる環境を整備する
・目標を共有するメンバーを拡大する
ことだとおっしゃいます。

教員物語でいえば第3章、これまでは若さで突っ走ってきましたが、ここからまたスタートという意味を込めて、タイトルは「リスタートを継続する」です。

(弊社講師 稲葉からのコメント)
E先生は安心して仕事を任せられる方だなという印象でした。前述の石川先生のようなムードメーカーのような言動はされませんが、実直にかつ真摯に仕事に取り組むという姿勢が研修の中でも他校の先生方に良い影響を与えておられました。
とかく力のある先生は新しい概念や手法と直面した際、自分の基準に照らし合わせてふるいにかけることが多いのですが、E先生は、まず自分の中に取り込み、自分の言葉や考えに置き換え、少しでも良い物を作りだそうという姿勢が随所に見られました。今後はより大きな領域やテーマを担当されるようになるでしょうが、是非、周囲の手本となるリーダー教員を目指してほしいと思います。

E先生へのインタビューを紹介しましたが、学校という組織ならば状況は同じようなものがあろうかと思われます。今回の記事をご参考、及び、先生ご自身の励みとしていただけると弊社としてもうれしいです。

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