2018年6月23日土曜日

一見見えない課題こそ即時対応する重要性

新しい実践の導入は十分に検討してから決定する、という学校が多いが、本当にこれでいいのか、ということを考えてみたいと思います。

暗記中心の学習では社会で必要とされる「問題解決力」や「生きる力」や「思考力」は育たない、だから、新しい試みが必要であると言われてもう久しいです。

が、大半の学校において、今だにこの試み自体がなされている段階で、さらには、この試みさえ十分に実践されていない学校もかなりあります。

このようになってしまうのには、学校の決定構造にあるのではないかという仮説です。

新しい実践の是非を慎重に検討して、リスクがあるから導入を今回は見合わせる、という判断をすることが多いように思われます。

一見何も問題ないようですが、大きな問題があるように思います。

●「リスクがあるから導入を見合わせる」という部分です。
リスクがない実践というのは原則的にはありえないはずです。安全に思われるような実践でもリスクは必ずあります。リスクはあるけれど、この実践をするとこのような新しい価値が生まれるから、このリスクはカバーできるというように、リスクをどのようにマネジメントするかを考えなければ物事は進捗しません。

そして、もう一つ大きな問題は、
●慎重に検討した結果、見合わせるという決定は一見価値があるように感じますが、『課題解決』はまったく進展しないまま残ってしまう
ということです。

ここの部分の危機感が薄すぎるように感じます。
課題解決の必要性をどこかにおいてしまって、平気で新しい実践を見合わせてしまう学校が多いからです。

大きなテーマの課題でしたら、なお慎重に検討される傾向があり、多くの学校で検討に3年を要している感覚でしょうか。

課題を先延ばししがちなのは、「先延ばししたからといって、すぐに入学者数が減少するなどの目に見えてこれはまずいという現象が生まれないから。」なのかもしれません。

目に見えないけれど、大きな課題というのは危機感をもって、マネジメントに当たらないといけないと思うのです。

これは管理職だけに課されたテーマではありません。
学校に在籍する専任教員であればベテラン・中堅・若手の年数を問わず、誰にでも責任があります。

手前勝手な情報で恐縮ですが、弊社の中堅研修に参加いただいている学校では、やはり現場力が強い学校が多く、生徒募集においても安定的な結果をあげておられます。

弊社の中堅研修ではケーススタディを通して、『あるべき行動』をとらなかった場合にどのような事態に発展してしまうのかを離れた視点で研究します。

離れた視点で研究するので、客観的に自分の学校での言動を見つめなおすことができます。
自分が『あるべき行動』をすれば学校を変えていくことも具体的にシミュレートしていただけます。
●自分の言動が大きな鍵を握っている、責任が大きいということを身をもって実感いただけるのではないでしょうか。

良い学校をつくるには、『現場の言動』が日々刷新されていないといけません。
そのカギを握るのはこれを読んでいただいている先生(みなさん)なのかもしれません。

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2018年6月22日金曜日

4技能対応の学校差で思うこと

最近つくづく実感することに、社会からの要請に対応するスピードのはやい学校とそうでない学校があるということがあります。

近年急に要請が大きくなったものの一つに、『英語の4技能』があります。

これへの対応はやはり学校によって大きな差になってきていると感じます。

日本をこよなく愛すネイティブの先生と日本人の英語教員がタッグを組み、本当に使える英語を養うカリキュラムを作り上げた学校もあれば、かたやネイティブの先生はほとんど学校におられず形見の狭い思いをされている学校もあります。

対応が遅くなる理由の中身を見てみますと、最も大きなものは人事の問題ではないでしょうか。
4技能習得にシフトしようと思うと、4技能すべてに長けていないと実現しません。
しかし、ご承知の通り、英語の先生全員が4技能すべてに長けているわけではないというのが現実です。
4技能習得のカリキュラムに学校としてシフトしたくてもシフトできないわけです。
でもすべての学校がシフトできていないかと言われるとそうではないのです。
シフトできている学校があるのです。

この差をとらえてよく言われるのは、
●先見の明を持つことの重要性
だと思われます。

確かに先見の明を持つことは重要なのですが、欠点は先見の明を持とうと意識してもなかなかそれを持つことは困難だということです。

そこでこの4技能習得にシフトしている学校とそうでない学校は何が違うのか、
もっと掘り下げてみます。

仮説として、
●流行に流されるのではなく、大事と思われるものを自分たちで特定し、それに向けて学校として注力を始めているかどうか。
という点があるのではないかと思われます。

現時点において4技能習得へのシフトがほぼ完了している学校は、
●まわりの学校が学校の見栄えをよくするような取り組みに躍起になっているときに、
そのようなものに流されることなく、大事なものをみんなで確認し、それに向けて本腰を入れている。
という特徴があります。

何年も前から英語の先生の採用には4技能を念頭にした採用基準でやってこられたわけです。

英会話学校で力をいかんなく発揮された先生を学校に招かれました。
もちろん学校の思いや今後の方針を積極的に披露しそれに共感をした教員が同志に加わったのです。

「リーディング中心の日本の英語教育には課題がある」ということは近年に言われるようになったのではなく、もう何年も前から指摘されてきたことです。

にもかかわらず、そこへの注力をおろそかにしていた学校が大半だったということではないでしょうか。

そのような問題意識をもち、孤高の考え・実践をしてきた学校が今やっと陽の目を見ているというのが実態ではないかと思われます。

先見の明というとテーマは大きいように感じますが、実は当たり前の課題に対して勇気をもって踏み出すということが今求められているのかもしれません。