2011年12月17日土曜日

習熟度+生徒の忙しさ別トレーニングメニュー

関東圏の高等学校で授業改善に取り組んでいらっしゃる先生にお話を伺ってきました。
専門学校を含む進学率は約8割、4大進学率は約5割で、数年前から国公立クラスを作り、近年は国公立大学合格者も連続して複数名輩出しています。


N先生スタイル
去年は1年から3年を持ちあがった。そこで自分のスタイルを理解させたのが授業満足度の高まった要因。授業の技術的な工夫ではなく、もっと広い人間性を含めた信頼性だと思う。担任でもあったので、生徒と敵対せず進路や悩みを一人づつ把握したし、自分のプライベートも出した。生徒の記述では授業に関する要望よりも、そうした部分が良いと評価されている。

○信頼感
自分が担当するのは中から下の生徒。英語を嫌いな子。なのでムード、自分についてきたら大丈夫という信頼。宿題をやってきたら大げさに喜んであげるし、やってこなかったら悲しむ。生徒も自分のものまねをする、「やったー」「ほんとにー」「やばいんじゃない!?」。ある意味宗教、「がんばればできる」とおまじないもかける。

○授業規律
高校1年のときは嫌われてもジュースをしまう、ネクタイをする、服を中にいれる、ということをきちんという。しつけ。寝ない、携帯の電源を切る。起立したときにそうしたことができてないと、何回もやり直しをさせる。聞かない生徒にはなぜそうしたことが必要かを滔々(とうとう)と話す。なぜ英語の時間に数学の内職をしてはいけないのか。自分が教えたいのは分詞構文がどうのということではない、英語を通じてメンタルな部分、人生で必要なことを教えているという気持ちをもっている。

○宿題
宿題は1時間程度でできる分量を出す。ただし、指示は4つのアプローチ。簡単だな、と思った人は30分で仕上げてこの問題を解く、1時間でできた人はこの本も読んでおくといいよ、2時間かかってできなければそれ以上しない、部活でできない生徒は電車の中でこれだけはやっておけ、と。こうした指示をチャイムが鳴っている1分間の間に行う。部活が忙しくてできない、という生徒にも「電車のなかでこれだけはやっとけって言ったよ。」という。

○教科書
教科書は1年でクラウン1。進学校の使う難しい教材。前は、同じ東京書籍のプロミネンスを使ってた。ターゲットも持たせている。生徒が受験生の気持ちになるので。全部の内容をするわけではなく、1章を何度も繰り返す。できた生徒は2章に移る。


○感想
とにかく熱い先生で、対面するとその情熱がひしひしと伝わってきます。教科を通じて人生で必要なことを教えたいんだ、という気持ちが生徒に伝わるのでしょう。学年を追うごとに「信者」が増えていく様子がアンケート結果からも伺えます。それは、人間としてのつながりもさることながら、周到な準備と教材研究に裏打ちされた授業技術や、生徒の状況やレベルに応じたトレーニングメニューの提示などがあってこその結果なのだと推察します。熱意が具体的な形として提示されるからこそ、信頼に応えたいと生徒が行動を起こすのだということを学びました。

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