2011年11月1日火曜日

夏期教員研修

みなさんの学校では夏休みにどのような研修会をされているでしょうか。
私たちがたびたび講師としてお招きしている開智高等学校の加藤先生のブログで、刺激的な研修会の様子が掲載されていましたのでここでご紹介させていただきます。
加藤先生のブログでは写真付きで、より臨場感のあふれる記事となっています。
他にも授業改善のヒントがたくさんありますので、ぜひご覧ください。

また、ご自身でブログを立ち上げておられる先生や、お勧めのブログがありましたら、
コメントにアドレスを残していただければ嬉しいです。

加藤先生のブログ 「アルペジオ」
http://www.kato-katsumi.net/

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夏期教員研修に関する記事(ブログの記事を引用しています)



今年度の夏期教員研修の第1日目が終了しました。

今回の研修テーマは「学びあい」です。
開智高校では数年前から本格的に「学びあい」をいろいろな授業に
取り入れており、今日の研修では2学期に行う「学びあい」について
個人レベルと教科レベルとで立案・発表・研究を行いました。

日ごろから相互授業参観などで他教科の先生の実践を見せていただくことも
多いのですが、いくつもの教科が集まって発表・研究する機会は
それほど多くないので、とても勉強になります。

今回は特に「学びあいのプランニング」に焦点化しました。私のほうから
「プランニング」のタスク・ブレイクダウンの基本ルートを紹介させていただき、
それに沿った形で、各先生に策案していただいたのですが、日頃から
「学びあい」を積極的に取り入れている先生方にとっても、別な切り口を
発見していただけたようで、実りある研修とすることができました。

明日は会場を開智未来中学・高等学校に移し、本学園の
総合部(小1からの12年一貫教育部)
中高一貫部(中1からの6年一貫教育部)
高等部(高1からの3年間教育部)
そして開智未来中学高等学校との
コラボ研修です。
ここでは授業参観と研究協議会を中心とした研修を行ってきます。


夏期校内教員研修の2日目が終了しました。

本日は開智未来中学高等学校(埼玉県加須市)が会場です。
開智未来中学高等学校は、本年4月に開校したばかりの、
開智学園の中では最も新しい学校ですが、
未来という言葉が表わすように、次代を担う子供たちに最先端の
教育メソッドを取り入れ、指導しています。

未来メソッドは受け売りではなく、校長(関根均先生)が開発した
「学びのサプリ」を基盤に成り立っています。
また、『論理エンジン』も中学校・高校の両方で導入しています。
中学校では『システム中学国語』も併せて取り入れています。

いよいよ、学園の専任教員、約250名が一堂に会する、
年間2回行われる、大規模な研修がスタートしました。


本日の研修は、午前中に研究授業参観、午後は校長による「教えのサプリ」
および、教科別研究協議といった内容です。

国語科の研究授業では、中学校・高等学校ともに『論理エンジン』をベースとした
授業が行われました。



未来中学高等学校の国語の授業は、上の写真にもあるように(※割愛しています)、
基本として「生徒が」授業を進めていきます。
また、複数クラスを合併して行ったり、学びあいが効果的に進むように、
通常教室ではなく、小ホールタイプの教室で日常的に授業が行われます。

教科書を単元進行で教えていったり、『論理エンジン』をドリルのように
教えていくといったことは全くありません。

これは私が勤務する開智高校(高等部)でも同様ですが、『論理エンジン』
によって「日常生活に困らない程度の日本語力」からの「意図的な脱却」を
徹底的に指導しながら、論理的思考力・判断力・表現力を、いろいろな
角度から育成できるような「自校開発プログラム(教材)」に沿って、指導
しています。

私は中学生に対する指導経験が乏しいので、特に中学部の授業は発見が
多く、とても勉強になりました。
中学生は、高校生に比べて論理のとらえ方に緩い面がみられたり、
日常言語による文意把握に流れてしまうような面は、当然あるのですが、
一方で、のびやかな思考ができるので、学びあいも活発で、
教師が気付かないような発見をする生徒がいたり、大人とは違った切り口から
発表をしていく生徒がいたりと、実に多彩です。

中学生の持つ可能性の豊かさに感動するとともに、それを着実にサポートし、
伸ばしてこられたH教諭の指導力の素晴らしさにも感動した授業でした。


2日目の午後は開智未来中学高等学校の関根校長による
「教えのサプリ」講座です。

「よく教える者は、よく学ぶ者である」との理念のもと、
学園の教師約250人が15歳になったつもりで授業を受けました。



「自分の授業の「よいところ」を3つ挙げてみましょう」
「自分の「授業に対する信念」を具体化してみましょう」

これらの問いかけに、多くの教師が一瞬戸惑います。

自分の授業の良いところが3つ挙げられない。
自分の信念を言葉にすることができない。

関根校長から容赦のない指摘が飛びます。
「みなさんは自分の授業の良いところをわかっていないのですか?」
「信念のないままに、生徒に向かっているのですか?」
「信念がなくて、よく教壇に立っていられますね!」

一つ一つの言葉がとても勉強になります。

教員研修の難しさは、「教師は学ぶ姿勢をとりにくい」ことにあります。
学ぶことの大切さはよくわかっていますが、日常的に
「教える側」になっている者にとって、「教わる側」に心から身を置くことは、
なかなか難しいことのようです。

私も毎月1回、高等部の教員対象の教員研修を行っていますが、
このことは強く感じてしまいます。

今回の研修でも冒頭で、教師に「聞く姿勢」を取らせるために
いろいろな取り組みがありました。
また、研修にも多くの「学びあい」の場面が取り入れられました。

授業後の先生方の表情を見ると、一様に爽やかで、達成感のある
顔をしていました。
関根校長の狙いは十分達成されたようです。

2日目、関根校長の講座のあとは、教科ごとに分かれての研究協議会です。

午前中に行われた3コマの授業
・中学1年生と高校1年生の『論理エンジン』をベースとした現代文の授業
・高校1年生で行われた古典の授業
を題材に協議を行いました。

古典の授業では「助動詞の学習」が取り上げられており、協議会では国語教師の
共通の悩み…「古典文法の知識の定着と運用能力の向上をいかに実現するか」
という点について意見交換がなされました。
今回の研究授業では、一般的に知識の習得段階で用いられる小テストや繰り返し
学習ではなく、「ペア・ワークによる暗誦」が取り上げられ、この方法が一定の効果を
もたらすことが確認されました。




現代文の授業では『論理エンジン』をどのように教材化して使っていくか、あるいは
「学びあい」の効果的な実践のあり方などについて意見交換しました。

今回の中学生の授業では、「おもちゃについての説明文を書こう」という
未来中学独自教材が取り上げられました。
これは、生徒一人ひとりが、同じおもちゃについて
「①幼稚園児に向けて」「②中学生に向けて」「③大人に向けて」
の3パターンの説明文を書き、それを相互に評価し構成しあうことによって
「わかりやすい(=論理的な)文章とはどういうものか」
「相手を意識した(=他者意識を持った)文章にするためには」
といった、現代文学習の重要項目を「学びあい」の中から発見させていこうと
する取り組みです。

協議会では教材開発のポイントや、「学びあい」に取り組ませるうえでの留意点
などが話し合われ、実践可能なプランもいくつも出されました。


…このようにして、教員研修2日目もあっという間に過ぎていきました。
学期が始まるとなかなか落ち着いて「自分の授業を振り返る」ことができない
我々にとって、実りある研修になったと思っています。

わが高等部は、昨日9月2日からフルスケールでの授業が開始されています。
また、来週からは校内にある宿泊学習棟を使った「秋期勉強合宿」がスタートします。
この模様について、次回からレポートしたいと思います。

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